【刺 針】 2008年9月4日付
今からほぼ11ヵ月前、福田康夫内閣が誕生した。スタート時の支持率は60%前後だった。支持率としては安倍晋三前内閣スタート時から比べれば、10%程度低かったが、まずまずのスタートを切ったのである。
余談だが父親の福田赳夫氏が首相の時はどうだったのか。高い時は27%、低い時は22・7%、不支持率は48%だった。支持率でいえば、親子2代にわたって似たようなものではある。
さて本題に戻すが、本紙でもこの欄で、この時(昨年9月)、「この支持率を維持できるかどうかは今後の政策の決定内容やスキャンダルの発生の有無などにかかってくる」と記したが、政策では「何もしなかったのでは?」と国民からは評されるし、幸いにして安倍晋三前内閣ほどの閣僚スキャンダルには見舞われなかったものの、それでも結果的には最後は農水省大臣の秘書事務所経費問題が引導を渡したようなかっこうではある。
確かに参院では政権与党が過半数に達せず、自分の政策が思うように進まないジレンマがあっただろう。
でも一国のトップリーダーである。リーダーが志半ばで何もかもを放棄したのでは、政治なんて、この程度の希薄な信念でやっていけるんだと思われてしまい、国家全体の士気低下を招きかねないだろう。
さらに首相というわが国における最善で最高の資質と権威を備えていると思われている立場(地位)ですらも、「なんだ、首相ってこの程度でいいのか」と失墜してしまうことにもなりかねない。
だが、それでも福田首相は今すぐにでも止めたかったのである。
なにやら福田首相個人の問題というより、誰が首相になっても事は思うように進まず、理想は瞬く間に萎(な)え、いつもスキャンダルに怯える政治家が存在する日本固有の頑固な政治システムが存在しているように思えてならない。
「与野党問わず、首相なんて誰がなっても同じことさ」、そんな失望感とあきらめムードが国民の間にまん延してしまえば、政治は終わる。これは日本崩壊への序章になりかねないのにである。 (浩)