【刺 針】 2008年9月9日付

 米国のサブプライム問題が話題になり始めたのは、今からほぼ2年前である。その頃、この問題はアメリカ国内に限られ、世界的な影響はそれほど大きくはないという論調が強かった。サブプライム層がアメリカの住宅購入層で占める割合は、メディアで騒がれるほどには、それほどでもなかったからである。

 ところが07年になると、事態は大方の予想を裏切り、一部の経済アナリスト(分析家)が危惧していたように、世界経済に大きな影響を及ぼし始めた。
 当初の頃は不動産バブルで手痛い失敗と深傷を受けた日本では比較的影響が少ないとは言われたものの、最近では中堅の不動産会社が次々と倒産していくのも、このサブプライム問題が影響していると言われている。

 そのサブプライム、米政府は先に米政府系住宅金融2社に公的資金を投入する救援策を発表した。その投入額は最終的には約2・5兆円にも及ぶといわれている。ブッシュ大統領は公的救済に反対していたが、もやは公的資金という輸血なしでは、この住宅金融2社を救えない事態まで追い込まれているとみた方がよいのだろう。

 なんとなくアメリカ経済が危うい状況になりつつあると感じるのは、筆者1人の杞憂だろうか。サブプライム問題から端を発して、原油価格も大幅に上昇する中で、アメリカでは消費が落ち込んでいき、車などの販売台数も大きく減少している。
 このアメリカ経済の冷え込みは、日本のみならず中国や韓国などのアジア経済にも大きな影響を与えており、世界経済の失速が不安視されている。

 そして考えようによっては今回の米政府の公的資金救済が、実は経営危機にさらされているGM(アメリカ自動車ビッグスリーの中の1社)救済への地ならしではないのかと思う人もいるかもしれない。

 世界経済を牽引してきたアメリカに落日が迫っているのでは? なにやら今回の公的資金は予断を許さない情勢がこれからも続くことを暗示しているように思えてならないのである。(浩)