【刺 針】 2008年9月30日付

 先進諸国では政治的例のない1年短命内閣が、わが国の特徴である。このため諸外国では、日本の首相はほとんど知られないままに終わってしまう。それもまあ、ここまで続くと、わが国固有の政治システムだといなおれば、今まではそれで事は済んでいた。

 戦後の内閣を振り返ると、任期1年未満で終わった首相は13人もいる。これらを合わせ、これまでの首相在任期間平均は約2年だそうである。
 それでも日本は飛躍的な経済成長を遂げ、世界の経済大国として君臨してきた。
 内閣が短命でも経済や社会制度は、それなりに機能するシステムが働いていたのである。

 さらに一党独裁が長い間続いてきた。だから政治家の発言が選挙に多少は影響を及ぼしても、国民生活と国益が壊滅的な打撃を受けることはなかった。 
 そんな中で小泉元首相の在任1980日は、戦後首相の中では佐藤栄作氏、吉田茂氏に続く異例の長さだそうである。
 と、ここまでは小泉元総理以前のわが国の政治だった。 
 ところがである。

 安倍、福田元首相の短命内閣では、年金や医療、食の安全問題など、なんら解決をみないままに、先延ばしのように、国民に不安感を与え続けたままだ。
 この危機を乗り切るには、今のところ政治の力しかない。他に手だてがないからだ。
 だが、麻生新首相内閣でも、さっそく在任期間わずかに5日間という超短命大臣が誕生し、政治の危機が露呈している。

 麻生首相も後任の国交相大臣の緊急会見では、内閣のエンジンがかかる前に急ブレーキがかかってしまい、さすがに表情は怒っていた。
 失言がどうのこうの以前に、むしろ問題は今ある国民の不安や危機感を共有できない政治家が存在していることである。

 これでは年金や医療、食の安全問題から国民の不安を取り除くことは、当分望めそうもない。困ったことになりつつあるというのが、実感である。   (浩)