【刺 針】 2008年10月10日付

 「惨事ストレス」という言葉をご存じだろうか。
 悲惨な災害に遭遇したとき、多くの人々は心や体にさまざまな変調をきたすことがある。
 こうした災害等によって受けたストレスを「惨事ストレス」という。

 95年の阪神淡路大震災をきっかけとして、物理的な支援のあり方とともに、被災者らの心理的な支援の重要性も求められるようになってきている。
 さて、最近の「惨事ストレス」という言葉の使われ方を見ていると、被災者は当然のことながら、救援者やその現場を目撃したり、現場の活動にかかわった人たちが受けるストレスとして使われていることが多いようだ。

 特に救急隊員や消防隊員などは、悲惨な現場で活動することがかなり多くなる。

 プロとして高い職業意識を持っているとはいえ、現場の悲惨さやもどかしさ、後悔、悲しみなど、現場に立ち会った人でしか分からないいろんな感情を抱くことも多く、それが大きなストレスとなっていくという。
 そのことが原因で心的外傷(トラウマ)や心的外傷後ストレス障害(PTSD)、急性ストレス障害(ASD)などの障害を引き起こすこともあるのだそうだ。

 消防職員の現場活動に係るストレス対策フォローアップ研究会が、全国の消防本部や都道府県に対して行った調査結果によると、惨事ストレスを受けたと思われる事案で最も多かったのが「要救助者の死亡」。次いで「悲惨な現場」、「子どもが被害者」で、この地域でも起こり得ることだ。

 士別地方消防事務組合が発行している消防年報によると、1市2町での07年中救急出動件数は1139件。1日にあたり3件以上にもなる。
 それだけに業務上でのいろんなストレスを受けていることが考えられる。
 ひとたび何かが起きれば、だれよりも近い場所で活動をするのが消防隊員ら。

 こうした人たちの心理的負担を軽減するには、なによりも救急や火災、交通事故などの現場を作らないことだろう。

 いろんな意味で、安全で安心なまちづくりが求められているといえるのでは。
(功)