『NST』って何?=栄養編 -2
-10-
士別市立病院管理栄養士 伽賀育美さん
栄養のとり方は、口から食べるほかに点滴などいくつかの方法がありますが、栄養サポートチーム(NST)では可能な限り少しでも口から食べていただけるような工夫を第一に考えています。
人は、食べる時に食べ物の色や形、臭い、味、舌触り、歯ごたえ、温度等のさまざまな情報を得て食べています。一度食べた物は脳で記憶され、嗜好を作り出します。特においしいと感じた食べ物の記憶は、食欲がなくなった時に大きなカギとなります。
そのカギを患者さんと一緒に見つけ出すことが、食べる楽しさにつながる可能性を秘めていると信じ、栄養サポートチームでは毎日昼食時に患者さんの食べている状況を見に訪問したり、嗜好を聞き取って食事に取り入れる働きかけを地道に行なっています。
実際に、大好きな「たくあん」を刻んで食事に添えたことがきっかけで、食欲が回復し退院へ結びついた患者さんや、おかずにトロミをつけないとムセてしまう患者さんに、大好きなめん類を出すと人が変わったかと思うくらいにそのままツルツルとおいしそうに食べる事ができたという例もありました。
ほかにも、食事が十分に食べられない患者さんであれば、原因が何かを探り、食べることが苦痛にならないように少量でたくさんの栄養がとれるゼリーや飲み物などの「栄養補助食品」を提供したり、食事以外の時間帯におやつを提供する工夫もしています。
それでも、どうしても食べられない場合には、胃や腸の働きを低下させないために、鼻の管からや胃、腸に穴をあけて栄養剤を入れる「胃ろう」「腸ろう」という栄養法を積極的に選択しています。
「胃ろう」「腸ろう」になったからといって、必ずしも今後いっさい口から食べられなくなるわけではありません。体力がつき、意識や意欲、食べ物を飲み込む力の程度によっては、また食べられるようになる患者さんもいます。
|