【刺 針】 2008年3月4日付

 ガソリン税などの暫定税率なども含めた租税特別措置法改正案などを合わせた2008年度予算案が衆院を通過している。

 これらの法案が参議院ではどのように扱われていくのか、国会は久しぶりに面白くなりそうである。論議を深めて、国民が納得いくような決着を見いだしてほしい。
 どのような税であれ、税は国民が負担するものだ。その税の使い道をきちんと明らかにしていくのが、国の役割である。

 わが国の国民は税の使い道に対して、世界の先進諸国に比べれば、その監視も甘いし、何に使われているのかについても関心を払わない人も多い。
 税金の使い方が悪ければ、デモを行うような勢いも今やいささか希薄になっている。

 国民が政治(といおうか立法府という国会か)に牙を向けなくなったのは、総じて国民が豊かになり、生活に余裕が出てきたからである。

 経済の高度成長とともに貧富の差が縮まり、それなりに働けば、車も家も必要な電化製品もそろえることができるようになった。時には衣食にも余分な贅沢を楽しむことができるようになった。
 だから税金だって、国の言うがままに「まあ、しょうがないかあ」とあきらめることができた。
 だがである。

 かつて(1993年と1994年)わが国の国民1人当たりのGDP(国民総生産)は世界一だった。だがこの2006年度には世界18位までに転落してしまったのである。これは37年前の水準にまで戻ってしまったということである。

 このまま国民の間に格差が広がり、納得のいかないような税負担が横行すれば、国民の怒りが大きくなって爆発しないとも限らない。

 為政者が国民を甘くみていれば、しっぺ返しをくらうというのが、歴史の常なのである。

 福田首相は1月31日付の内閣府メールで「丁寧に、粘り強く、話し合う。福田康夫です」とタイトルをつけて、国会審議を進めていくことを高らかに主張している。

 政治家だけでなく、国民に対しても粘り強く話し合う姿勢を見せてくれないと、日本の政治システムは崩壊する。今回の予算案審議がそんな予兆となる国会であってほしくはない。(浩)