【刺 針】 2008年3月5日付

 古びた木造校舎の大きな生徒玄関に足を踏み入れたとき、期待と不安があったことを覚えている。

 1年生のころは、とにかくあっという間に昼食を終わらせ、先輩から言いつけられたサッカーグランウドの整備に汗を流していた。

 入学してから7カ月ほどがたち、引っ越しのために旧校舎から新校舎までの長い道のりを歩いたこともある。
 新校舎は、旧校舎とのギャップがあまりにも大きすぎたせいか、当時としてはホテルのように思えた。
 広々としたグラウンド、零下30度になっても学ラン≠ノマフラーをしただけで学校に通っていた。
 いまから30数年前の士別高校の思い出である。

 同級生が集まると必ずと言っていいほど、高校時代の話題で盛り上がる。毎年同じことを話しているが、不思議と飽きることがない。30年たった今でもである。
 そんな思い出の詰まった士別高校が先日、最後の卒業生を送りだした。
 ちょうど60回目の卒業式で、141人が士別高校を巣立っていった。
 1941年の開校から、1万5357人がこの学校を旅立っていったことになる。

 人口の減少や少子化によって、それまで市内にあった士別高校と士別商業高校は再編統合となり、昨年4月に士別翔雲高校が開校した。
 それに伴い、士別商業高校は士別高校よりひと足早く、昨年3月に閉校となっている。

 士別高校の在校生は、4月から士別翔雲高校に転入となる。
 「高校生」という青春の1ページを刻んだ母校がなくなってしまうことに、一抹のさみしさを感じざるを得ない。

 ただ、これからは新しい学校で学ぶ生徒たちが、それぞれに楽しい思い出と新たな校風を築いてもらいたいと願う。
 名を消していく母校への思い出を胸に秘め、これからの若い人たちの活躍に、大いなる期待をかけていきたい。 (功)