【刺 針】 2008年3月12日付
「旅立ち」の季節となってきた。
長年、親交を深めてきた友人や知人が、転勤のためこの地を離れていくことは、一抹のさみしさを感じる。
子どもたちにとっても、保護者の転勤等で仲の良かった友だちが転校し、離ればなれになるのはつらいことだろう。
さて、地元の高校を卒業し進学や就職のためにふるさとを旅立つ若い人たちが多い。
人口流出に歯止めのかからない地域の共通点は、若い人たちが地域を離れてしまい、高齢化と少子化に拍車をかけていることである。
地元に進学するような学校等がないことや、就職先が限られていることなどから、どうしても高校を卒業するとふるさとを離れなければならない状況になる。
「もし」が通用しない現実は十分に理解しながらも、地域に大学や専門学校があったり、若い人たちが望む就労の場を確保できるとしたならば、過疎の勢いも多少は食い止めることができるのだろう。
士別高校閉校記念の惜別の会で、閉校記念事業協賛会会長が「若い人たちにはふるさとに戻ってきてほしい。就職の場がないのであれば、自らが起業家になって戻ってくればいい」とあいさつしたのが心に残った。
ない物ねだりをしているだけでは、前には進まない。なにも無ければ自らが創りだす、能動的な姿勢で取り組んでいく。そんな若い人たち行動が、これからの地方の時代にとって大切なことなのかもしれない。
ひょっとすると、若い人たちはともかく、地域で暮らすわれわれ大人たちが、無いものに対して「仕方がない」とか「どうせ〜だから」などと、半ばあきらめの気持ちに支配され過ぎてしまっているのではないだろうか。
ゼロからスタートすることの勇気と、新たに何かを生みだそうとするチャレンジ精神が地域に満ちあふれていれば、そこで育つ若い人たちにも自然とそうした精神が引き継がれていくはず。
ふるさとで育った若者たちが、たくましく成長して帰って来てくれることを願いながら、ふるさとを守る大人たちも意識の「旅立ち」を図ってみてはいかがだろう。 (功)