【刺 針】 2008年3月18日付
ここでも何度か登場してきている福田内閣メールマガジンの中で、やはり面白いのは福田首相の考え方を直々に記している文章である。
こういうのをコラムというのか、それとも所信の表明というのか、なんとも言い難いのだが、一国の首相の言葉だけに、内容がどのようなものであれ軽いわけがない。
国会答弁や記者団との会見では、「まるで他人事のようだ」と思われるような印象を抱かせる無機的な発言が多いが、このメールマガジンでは意外にも能弁で、国政にからむ出来事への感想を素直に披れきしているように見える。
たとえば3月6日号のタイトルはこうだ。
「果実を分け合う。福田福田康夫です。」
内容をまとめると、こんな感じだ。
「世の中は今物価高で、国民の生活は苦しさが増している。だが給与は上がっていない。
一方で大企業はこれまでない最高利益を上げているが、これは国民が構造改革の痛みに耐えてきた成果だ。
だから今こそ、(大企業は手にしてきた利益という)果実を、国民に、家計に還元すされるべきときがやってきていると思う」
この果実、福田首相はどうやら給与のことをさしているようで、結論は「企業はさらに給与を引き上げて、消費の向上に貢献して欲しい。さすれば経済も上向くのでは」というようなことを言っているらしい。
これは実にわかりやすい主張だ。
次号の3月13日付では「ほとんどの企業が去年並みの給与引き上げを確保する回答を行い、(企業が)改革の果実を今こそ国民と分かち合うべきことや、経済を拡大するためにも給与の引き上げが必要だとの理解があったからだと考えています」と繰り返しているところをみると、果実の分配が進みつつあるとも判断しているようである。
論旨の基調は果実の分配が進むのは構造改革の成果によるものだというものだが、株価が上がらない一因に、何ら積極的(改革的)な政策を打ち出そうとはしない福田首相への失望感が指摘されている。
この福田首相の認識と現実の国民の生活実感、あるいは経済情勢とのギャップがいったいどこから生じてくるのか。
これはある種の謎解きである。ゆえにこれからも福田内閣メールマガジン・ウォッチングを続け、このギャップの要因を探っていきたい。 (浩)