【刺 針】 2008年3月21日付
ほとんどのアメリカ人が日本の首相の名前を知らないが、その逆、日本人の 「野菜ソムリエ」という資格をご存じだろうか。
プロ野球チーム・ソフトバンクホークスの王貞治監督の二女で、タレント活動などを行っている王理恵さんが、野菜ソムリエとして活動を行っているといえば、案外知っている方も多いのではないだろうか。
日本ベジタブル&フルーツ協会が実施している資格で、マイスターとシニアマイスターの資格を有している人たちを「野菜ソムリエ」と呼ぶのだそうだ。
本紙でも取り上げたが、野菜ソムリエとして活躍している人が市内にいる。農業改良普及センター士別支所で専門普及員として野菜を担当している高田勲さんは、07年に同協会のマイスターを取得し野菜ソムリエとなった。
職業がら野菜の栽培術はもちろんのこと、野菜の機能性、調理の仕方、マーケティング、歴史等々、さざままな知識を身につけ、食のスペシャリストとして生活者(消費者)と生産者のパイプ役をこなしている。
そんな高田さんが「農家の人たちは、営業マンとなるような意識が必要ではないでしょうか。自ら生産した作物のセールスポイントを武器にして、売ることに対しての責任を持ち、積極的にアピールしてもいいのでは」と話していた。
作る、売る、買うといった行為のなかに、生産者自らが「わたしの作った野菜は、こうして食べるとおいしいですよ」とか、「この苗は○月○日に植えて、収穫した時期は○日です」「購入から△日後が食べごろです」など、ちょっとしたメッセージを添えるだけでも、それを購入する生活者に対しては、大きな説得力となるだろう。
野菜に対して幅広い知識を有している「ソムリエ」ならではの、考え方・見方といえる。
いまの時代、生活者は食に対して実に敏感となっている。野菜ソムリエは、もともと青果販売業者や流通業者などの取得を想定していたらしいが、フタを開けてみると主婦層の取得がかなり多かったという。
それだけ、食に対する情報を欲している生活者が多いということではないか。
そうした情報を知り得ているか否かだけでも、作る側、そして買う側の意識も変わってくるだろう。
農業を基幹産業とするような地域で、野菜ソムリエのような人たちの活躍の場が広がれば、他にはないひと味違う産地ができそうな気がしている。 (功)