【刺 針】 2008年3月25日付

 つい先日のこと、わが家の犬の散歩の折だった。中腰でフンを処理しようとしていた時のことである。本人にとっては、最低の事態を招くとはこういうことをいうのではないかと思った。

 たまたま近くで子どもたちがキャッチボールをしていたのだが、わが家の犬は子どもたちが遊んでいるのを見ると、近くに行きたいわ、ワンワン吠えるわで、やや興奮気味になる。この時もワンワン吠えながら、子どもたちの所に行こうとしていた。
 当方、引き綱に張力を感じながらも、フンの処理に気が取られていて、中腰のまま、両足に力が入っていなかった。

 よしこれが最後のひとつまみ、と袋にフンを入れようとしたとたん、いきなりわが家の犬がこちらに転がってくるボールに向かって走り出した。
 当方はどうなったか。

 手に絡んだ綱に引っ張られ、見事に路上で一回転である。しかも仰向けになって転んで止まったところが水たまり。頭から背中にかけて泥と水だらけ。足は擦りむき、惨々な結果である。

 犬はというと、脇で「何があった、どないしたん? 何ていうアホな格好しているんだ?」みたいなまるで他人事のようなさげすむ表情で飼い主をのぞいている。
 この様子に、子どもたちはよほどおかしかったのか、大爆笑している。

 当方も痛いやら恥ずかしいやらだったが、そこは冷静を装い、立ち上がって見回すと、泥を払い、子どもたちに少し照れ笑いを返した。

 雪解けになると、放置した犬のフンがかなり目立っている。もしそんなフンの上でも転がり回ろうものなら、これはもうまことに情けない個人的な惨劇である。

 フンがなかっただけでもせめてもの救いと自分を励まし、痛い足を引きずりながらわが家への帰路に戻ったのである。       (浩)