【刺 針】 2008年4月24日付
わが国は夕張市よりもさらに厳しい財政状況に迫られている―これを言ったのはメディアでも政治家でも評論家でもない。国家自身が主張したのである。
財務省と言えば、国の財布を握る大元だ。その発言は国家に等しい意味合いもある。
この18日、財務省は財務相の諮問機関である財政制度等審議会に「国家財政は財政破たんに追い込まれた夕張市よりも悪化している」との試算を示したのである。
その指標となる国の「実質公債費比率」の3年間平均は80・4%となり、夕張市の倍以上にもなっている。このままでは赤字が増える一方で、今、国家財政は危機に瀕しつつあると言う(それとも言おうと? しているのかなあ)。
とまあ、メディアではけっこうこのような感じで報じられた割には、国民の関心や危機感は今ひとつ盛り上がらない。
国が夕張市のようになると困るから、もっと節約し支出を抑えていきましょう。「国は困ってるんです。ホントのところ」と言おうとしたらしいのだが、国民にはこの訴えがなかなか信じてもらえないのである。
国の財政が本当に夕張市以上の危機なら、無駄を徹底的にはぶく努力や公共施設、社会福祉や医療、教育費などの大胆な事業抑制、補助金の削減、さらには各種の増税なども必要になってくるだろう。
だが国は国民に夕張市の市民のような差し迫った耐乏生活を要請してこない。行革も無駄な予算の支出も目に見えるような効果としては現れているようには思えない。
夕張市は先に倒壊したスウィミングセンターの補修を断念した。予算の都合がつかないからだ。
財政破たんとはこういうものなのだろう。
今、わが国が財務省が主張する夕張以下という国家財政の危機なら、もう少しわかりやすい事例を国民に示してほしい。でなければ実際、国が財政破たんを迎えるなどということを信じることは難しい。人間は痛い目に合ってからでないと、なかなか行動を起こせないからである。(浩)