【刺 針】 2008年5月13日付

 つい先日、わが国の国債の金利上昇がメディアなどで報じられた。扱いそのものは地味で、大きな反響を呼んだわけでもないし、その後の動きも報じられない。

 その国債だが、その内容を今一度復習してみたい。

 国債とは国が赤字を補てんしたり、何かを建設したりするための必要資金を調達するときに、借り入れ証書として発行する債券のことである。

 いわば国が国民や金融機関、投資家からお金を借りる際の証拠として発行する証券だから、すべての投資家等から政府が借金をしていると考えてよい。

 国債の価格が下がると、なぜ利子が上がるのだろうか。国債はその人気がなくなれば売れなくなる。人気の低下に歯止めをかけ、買ってもらうためには、利子を上げなければ魅力がない。だから価格は下がるのに、金利は上がることになる。
 金利が上がると、今度は国にその利子支払いが負担増となって跳ね返ってくる。

 国債の暴落と金利の上昇は、国債依存度の高いわが国にとっては、かなり危険な道のりなのである。
 さてでは今回の国債の金利上昇はどの程度だったのか。

 1・275%から1・.645%への上昇である。その理由はアメリカのサププライム問題の余波などで外国の投資機関による大量売却などが考えられている。

 政府としてはあまり騒ぎたくもないし、国民に不安感を与えたくもないだろう。個人向け国債が売れないような状況に陥ってしまっては、歳入減の道が狭まり、財政的にも危機が訪れるからだ。

 今のところ、今回の上昇が日本経済に大きな影響を与えているわけではないから、国も静観といったところなのだろうか。
 だが年金や後期高齢者医療保険、暫定税率、改正建築基準法など国の場当たり的な政策が、国民の心理を浮き足立たせている。国家への信頼が揺らいでいるのだ。

 そんな国民感情がこれから株価や国債の価格に影響を与えないとも限らない。

 国際社会とて、そんな日本の将来を注視しているはずである。 (浩)