今回は私の仕事や日常とは関わりのない話だが、ある意味非常に人生のお勉強になる話なので紹介しておきたい。
それはある病院に勤務する友人に聞いた話だが数年前に実際に某N市で起きた盗難事件である。
その日、被害にあった爺さんはそれはそれは大事そうに風呂敷包みを持って病院へやってきた。そんな爺さんを周りは「あらあ! あのおじいちゃんも全財産を持って歩いてるのねー」なんて噂しあったそうだ。
ところが、その爺さんがトイレに言ってる間に風呂敷包みが忽然と消えていた!!
「オレの風呂敷包みが盗まれた……!」その爺さんの一言で待合室、いや病院全体が騒然となった。
さあ青くなったのは病院の関係者の方である。
「どうしてそんな大事なものを置いて行ったの!!」しかし今さらそんなことを言っても時すでに遅しである。
だが当の盗まれた方の爺さんは、困りながらも特に慌てた様子もなく、病院の人間に申し訳なさそうに謝るばかりだ。全財産を盗まれたにしてはなかなかの余裕ぶりである。
私の友人は訪ねた。「それでおじいちゃん、一体いくら盗まれたの?」
ところが爺さんは不思議そうな顔してなかなか答えない。業を煮やして友人は再び訪ねた。
「お金とか大事なものだったんでしょ!」
「いや、クソだけだぁ」
「はあッ??」その場にいた一同がキツネにつままれた一瞬である。
話はこうだ。
その日、爺さんは医者に「爺さん! 今度くるときは検便……わかる? クソ持ってきてね」と言われ、ビニールにう○こを大量にして、それを全部(!)新聞紙で何重にもこぼれないように厳重にくるみ風呂敷に包んで持参したらしい。じいさんは初めての検便で、持参するう○ちは少量でいいということを知らなかったのだ。したがって、その盗まれた風呂敷包みには全財産などではなく、爺さんの「う○こ」しか包まれていなかったらしい。
その後、とうとう爺さんの「う○こ」は見つからなかったそうだが、気の毒なのは年寄りの貯め込んだ全財産を盗んだつもりであろう犯人である。
その風呂敷包みを開けた時の犯人の驚きようは如何ばかりか……ぜひとも知りたい私である。
犯人には可哀相な話だが、純朴な田舎の年寄り相手に悪事を働くから、そんな目にあうのだ。これは天誅がくだったとしか言いようがない。どんなに不景気でも人の道に外れた事をしてはならないという天からの戒めともいうべき事件だろう。
後の世代にまでも語り継ぎたい心温まる逸話である。