2002年2月号     1月 | 2月|3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 |   top
 



 


 理加ちゃんの明るいお産計画 
         あ、いや。私がお産するわけじゃりませんが……!

 わが家では1頭だけ搾乳牛がいる。自家消費用である。当然、毎年1回だがお産があるわけだ。
 この搾乳牛、ふだんは他の育成牛と並べて繋いで飼っているのだが、出産予定日が近づくと少し広い産室の中で放し飼いにする。
 ところが何故かこの牛はいつも早産で産室に移す前に産んでしまうので、糞尿を処理するために床より深くなっている「尿溝」に知らないうちに仔牛が落ちてウ○コまみれになっていることが多い(汗)。
 これはハッキリ言って困る。汚いだけならまだいいが、仔牛の口に糞尿が詰まって窒息などしたら命に関わるからだ。
 特に一昨年に父が入院している時期にお産が重なった時は近所を巻き込んでの大騒ぎになった。
 なんせその牛が予定日より2週間も早く急に産気づいた時、私は何も知らずに父の見舞いに行っていたのである。
当時、脳梗塞の影響でまだ体が自由に動かなかった母は焦った。そして親戚でもある隣家に電話で助けを求めてから牛舎に戻った時には、すでに遅く、仔牛は生れ落ち、ついでに尿溝にも落ちて糞尿に溺れそうになっていた(笑)
それでも応援が駆けつけるまで、母は必死に仔牛の顔を持ち上げ呼吸を維持させた。
 それからまもなく隣の家族が駆けつけ、一緒に仔牛を尿講から引き上げて仔牛部屋へと運んだとのことである。
私が帰宅したときにはすでに親戚も帰り、すべてが片付いた後だった。
 いやぁ……私は喜んだね(笑)そりゃあね? 普通は人様に迷惑をかけて恐縮しなければならないのだろう! だが、家に帰ったら牛飼いとしては大仕事である面倒なお産がすっかり終っていたのである。これが喜べずにおられようか? 
 やったね、ラッキー! さすが私! ふだんの行いがいいから神様がご褒美をくれたのねん♪ なんて浮かれながら牛舎へ牛の様子を見に行くと……毛艶のいい真っ黒なF1(ホルスタインに和牛の種をつけたもの)が、あどけない顔で私を見上げてくる。可愛いなぁ! それになかなかいい牛だ。しかし小さい。やはり早産だからだろうか? まあ、未熟児だから小さくても仕方ないか……そう思いながら次に繋がれたままの親牛を見に行くと……まだリキんでいる。
 ???お産が終ったのに、なんでまだリキんでるの?!不審に思ってお尻を見たら……あ…あ…あ…足が出てる〜〜〜〜〜!!
 ふ、ふ、ふ、(笑っているのではない)双子だ〜〜〜〜!!!
 あわてて家へ戻り、ふたたび応援を求めて電話しているうちにもう一頭の仔牛はニョロニョロと(こういう擬音がピッタリなのである)産まれてシマッタ!! いやーん。また尿講に落としちゃったよぉ、 神様ぁ! 私にご褒美をくれたんじゃなかったんかーい!
 と恨み言を言いながら私は必死に仔牛の口元の粘液や糞尿を拭き応援が駆けつけるのを待ったのであった。
 ちなみに昨年も産室に移さぬうちに思わぬ早産で仔牛を尿溝へ落としてしまった。
 そして私たち親子は気づいた。通常、牛の妊娠期間は285日だが、人間だって生理周期に個人差があるのだから牛にだって個人差(個牛差?)があってもおかしくはない。毎回約2週間早産なわが家の牛は270日に違いない。
ようし! 今年は早めに産室に移すぞ!! もう仔牛を尿溝に落としてウ○コまみれにしないからな〜!!(大決心)