酪農家の春一番の仕事といえば、牧草地の肥料撒き。
1袋20キロの肥料を日に何百体とトラックに積み込んで草地に運び、トラクターにつけたブロードキャスター―番組名ではない(爆)―という作業機で畑に撒く。
トラクターでの作業は父、私はひたすら肥料の袋を空けたり肥料を担ぎ上げたり……と肉体を駆使した重労働に勤しみマッチョな体に拍車をかけているわけだ(笑)。
牧草地を見渡していると、ふとした変化に気づく。
まるで一面、新たに草地造成したかのようにムラなく緑の草が生えているのである。
なにをあたりまえの事を……と思われるかもしれないが、牧草地も造成してから何年もたつと、機械で根から削り取ってしまったり、一時的にせよ仮に牧草のロールを置いてあった場所は草が死んでしまい、いたるところに小さな「ハゲ」が出来てしまうものなのである!!
ところが、今年の草地にはそのハゲが見当たらない。新たにタネを撒いていたわけでもないのにだ。
そこで思い出すのが去年の採草事情だ。
去年は最盛期に例年にない長雨に悩まされ、すっかり牧草を刈り遅れてしまったのだ!!
うちなどは約1ヶ月も遅れたが、同じように8月まで「まだ15町手つかずだよ〜」と号泣していた牛飼い仲間が数多くいたため、しまいにはみんなで居直って刈り遅れ自慢していたものだ(今思い出しても泣けてくる)。
刈り遅れた草は嗜好性が落ちるため牛の食欲が落ちたり、栄養面に影響があったりと、我々酪農家には大変な痛手であったのだが、その刈り遅れた牧草が、採草時にはすでに穂をつけ多くの種を草地に落としていたのである。
うーん……。
草地造成も助成をもらってもン十万円もかかるし……たまに牧草を刈り遅れるのもいいもんだな。
何事も悪いことばかりではなく、イイ一面もあるということだ。……なんて、去年の刈り遅れの負け惜しみを言ってみる(ダメだ、やっぱりむなしい)。