2001年4月号    ● 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 ●  top
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 それは母の野菜保存から

       ―ドラマづくりに見る乳房炎
 

  わが家の裏玄関は六畳くらいの広さで、ちょっとした脱衣場と納戸を兼ねた造りになっている。
 牛舎や畑仕事に行く時はこの裏口を使う。ここで作業着や長靴に履き替えるのでお客様を迎える表の玄関は汚れないし、匂いに困らない。
 さて、この裏口。母が冬でも窓を開けて網戸にしていたりするので困る。なぜっかていうと、ちょっとした野菜なども置く天然冷蔵庫がわりしているからだ。
 母の言い分は「寒いくらいじゃないと野菜が傷む」である。
 だがその言い分を我慢するには、寒すぎるのである。(さすがに最近は暖かくなってきたのでシバレる……というほどでもないが)
 そこで私は考えた。
 そうだ! 窓のロックをしておこう!、っと。
 うちの母はわが親ながら、今すぐにでも吉本興業で大活躍できそうな天然ボケ。私の見立てでは十年に一人の逸材じゃないかとも思ってる(褒めすぎ?)。
 こんな母のことだから、ロックしてあるなどとは夢にも思わず、窓が開けられないに違いない……(笑)。
 そして……その企みは見事的中! 大成功をおさめたのだ!!
 しかも母は「窓が開かない……これはシバレついたに違いない!」と思い、窓のレールにお湯をかけて、氷を溶かそうとずいぶんと頑張ったらしい。そして、当然ながら梃子でも動かぬ窓……。
 「大変だわ!! どうしたんだべ!!」
 一人焦りわめく母を見かねた父が窓のロックがかかっていることを教えた……。
 その後、私は母に「開けようと思って大変な苦労をした!!」とこっぴどく叱られたが、そんなもん、最初に見てみろよ……と思わずにいられない私だった。
 この母のおマヌケぶりはまるで先日まで日本テレビで放送されていたドラマ「愛犬ロシナンテの災難」の登場人物たち並である。
 ドラマ「愛犬ロシナンテの災難」。みなさんご覧になっただろうか?
 私はたまたま牛の花子が登場した回の話を見たのだが、牛の搾乳・出産・直検……とあらゆる酪農関係の場面が凝縮されていたが、どれもこれもインチキくささがプンプンしていて私の目を釘づけにしてくれた。
 特に登場人物たちが搾乳時間に牛舎でケンカになり、もめているところで停電になったシーン!
 それまでのケンカも忘れ「いつも通りの時間に搾らないと乳房炎になってしまう!!」と大慌てでみんなが一致団結して手搾りするのだ。
 いつもと同じ時間に搾らないとすぐ乳房炎になるのだったら、搾乳をやっていた頃のうちの牛は全頭、乳房炎になってたって!!(爆)。
 だいたい、慣れない人間が下手に手搾りする方がよっぽど乳房炎の危険があると思うのだが……(汗)。
 それに私なら慌てる前に最初にブレーカーを見るが……。このあたり、このドラマの登場人物たちはうちの母を彷彿とさせる。
 それに牛の出産シーンでも「産まれたぁ!」なんていう仔牛がどう見ても生後一ヶ月ぐらいの仔牛なのである。
 しかも一丁前に産まれたばかりみたいに濡れているのだ。きっと撮影前に仔牛に水ぶっかけたんだろうなぁ……ひでぇことしやがる。うう、可哀想に!!
 つまらないドラマだったが、別の意味で見どころいっぱいのドラマだった……終っちゃって少し淋しいのは私だけだろうか?
 しかし、あのドラマを見て酪農業界を誤解されては困るなぁ、と心配した私だったが、よく考えれば「西部警察」や「太陽に吠えろ」を見てこれが刑事の真の姿なんだ
!! なんて誤解する人間もいない。大丈夫だろう、きっと。たぶん、おそらくね……???