2001年2月号    ● 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 ●  top
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  あのね、耳寄りな話かも
      ―― なんだか、でないようだ!

 
 子どもの頃、私はウサギが大好きだった。もちろん今もだ。昔はぬいぐるみから服から持ち物・落書きの果てまでウサギづくしだったのだ。
 そんな私がいちばん初めに飼ったのが野ウサギだった。うちの牧草地で捕まえたものだ。
 ところがその野ウサギ、死んでしまった。
 そこであまりの悲しみに肩を落とす娘を見かねたのか、なんと! 父がペットショップでウサギを買ってきたのである!!(ペットショップでわざわざ買うなんて、うちの父にしてはすごく珍しいことだった)。
 ところがこのウサギ、なぜか耳が短いのである。
 普通、ウサギとは耳が長いのが特徴だ。そう、あの耳の長さこそがセールスポイントと言っても過言ではないだろう。
 「なんだかウサギでないようだ……」
 子どもながら素晴らしい観察眼を持っていた賢い私(←誰でもわかるって!!)は繰り返しこうつぶやいたものだ。
 ちなみにこのときの私の疑い深いつぶやきは、よほど可笑しかったらしく今でも父は
 「ウサギでないようだ……」と当時の私のモノマネをする。
 さて、この短耳ウサギ。
 父の話によると、可哀相なことに北海道のあまりの寒さに耳が凍傷でモゲちゃったというのである!!
 いやーん!! 可哀相!!
 ちょうど時期を同じくして近所の酪農家では牛舎の扉が開けっ放しになっていたために、子牛の耳が凍傷で途中からモゲて無くなっていたのだ。
 信じたね、あたしは。
 ところがである!!
 ほどなくしてこのウサギはめでたくご出産なさった!! ところがこの赤ちゃんウサギたち、皆、耳が短いのである!! えっ?
 おいこら! 凍傷でモゲたんじゃなかったんかい!!
 だが父は顔色ひとつかえずに言い切った。
 「これは突然変異だな!! おお……」
 突然変異……子どもの耳には聞きなれない響きである。
 そこはかとなく知性の香りがただようその言葉に、当時の私はおおいに満足し納得してしまったが……。
 その耳の短いウサギがモルモットだと気づいたのは、それからしばらく後のことである。
 父のばか。純粋な子どもをだましやがって……今さらだが、なんだか悔しい(笑)