2001年1月号    ● 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 ●  top
 7月 |  8月9月 |10月 |11月 12月




  牛の除角に走馬燈を見た 
      ―― 私は18世紀のフランス貴婦人?!

 年の初めに母・房子の見事な初飛びの話をご紹介したが、かくいう私もまた、見事な初飛びを披露してシマッタ……(不覚)。
 実はここ数日、子牛の除角に励んでいる。除角……要するに牛の角切りである。
 以前、ある雑誌の投稿欄で某ブランドのバターのパッケージに描かれた牛のイラストを「メス牛なのに角が生えてる!」と笑っていたが、この雑誌の編集者はどうもメス牛には角が生えないものと思い込んでいたようだ。
 断っておくが角が生えるのはオスばかりではない。メス牛にだって角は生えるのだ。ただ毎日の搾乳の際などに邪魔になるから小さいうちに除角し、二度と生えてこないように根元を焼いているのである。
 さて、牛にとって生きてるうちで一番痛い思いをするであろうこの除角作業に、牛自身も経験はないまでも、何やらただならぬ空気を感じ取るらしく、捕まって除角コーナーに連行されるまでの暴れようといったら、そりゃあもう、言い尽くせぬ程の大騒ぎなのである。
 子牛と言っても、そのバカ力は侮れないものがある。しかし人間サマも負けてはいられない。牛の首に縄をつけ、私もあらん限りの力で引っ張った!
 そして牛も火事場のクソ力で抵抗した!! その瞬間、牛を繋いでいたロープがプツンと切れたのである!!
 あ?!
 私は次の瞬間「走馬灯」を見た(というか、単に視界がぐるりと回ったことによる錯覚だったのだろうが……)。
 そう、お察しの通り、私はものの見事に吹っ飛んだのである!!
 側で見ていた両親の話によると、私の体は姿勢よく全身を伸ばした状態のまま見事に円を描いて飛んだらしい。その姿はさながら新体操の選手のようだったとか、なんとか……(^^;)
 ちなみに吹っ飛んだ場所はウンコがいっぱい積もった牛の寝床である。
 コンクリート床に直に倒れこまなかっただけあって、衝撃は非常に少なく命拾いしたと言っても過言ではないだろう。もしもウンコがこれほどまでに溜まっていなかったら、私は頭を強打し今ごろはこの世の住人ではなかったかもしれないのだ。
 しかし、その日は忙しかった。実はその夜には新年交礼会があったのだ!!
 時間が足りなかった私は仕事終了後、いつもならちゃんと風呂に入るところを髪と顔だけ洗って出かけたのである。ウンコの中に倒れたくせに……。
 まぁ大抵の場合、臭いがつくのは髪と服である。着替えて髪を洗えばきっと大丈夫。たぶん……きっと……おそらく……。
 それでも念のため香水で体臭を誤魔化した私はまるで18世紀のフランス貴婦人である。周りの人にとっては別の意味で臭かったかもしれん……。おほほ! ごめんあそばせ!!(汗)
 本当のこと知ったらよけい嫌だろうが……知らぬが仏とはこのことである。