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 歌丸子ちゃんの悩み
     顔がデカイと頭も……


 私はよく人から「デカイ顔をしている」と言われる。顔がデカイ……私は言われるたびにいつも悩んでいる。それは態度がデカイということだろうか? それとも言葉どおり顔の面積がデカイという意味だろうか。困った事にどちらの意味でも心当たりがあるのだから嫌になる。
 そう、私は態度もデカイが顔そのものもデカイ! 当然、頭もデカイ!! 現在、一番の悩みはそこである。
 というのも八月八日に上演される朗読劇『この子たちの夏』に私も出演するのだが、その中で被爆した人の描写で「髪はパーマネントウェーブをかけすぎたみたいに赤くちぢれて切れていた」という部分があるのだ。実は現在の私の髪型がまさにソレ。しかも、そのセリフを私が言うのだからたまらない。
 市民劇場の大ボスY氏が不安げに私に問いかける。  「森川のその頭は本番までに黒く、まっすぐになるのか?」答えは……微妙だ。この忙しいのに美容院になど行ってる暇は私にはない。
 だが、さすがに自分でもこの赤いチリチリ頭で舞台に立つのもはばかられる。
 私は意を決し声高らかに宣言した。「私、カツラをかぶります!!」
 しかしそうなると新たな問題が……。実は今回の朗読劇では出演者が麦藁帽子をかぶったり脱いだりするのである。
帽子を脱ぐ時にうっかりカツラも脱げちゃったらどうしよう!?
 いや、それよりもただでさえ頭のデカイ私がカツラを被った状態で果たして帽子が被れるのだろうか。
 ああ、不安だ。だいたい私には以前の舞台でもカツラで苦い経験があるのだ。
 それは数年前に「ふれあい演芸会」で上演した菊池寛の『父帰る』のときである。
 羽二重でなんとかロングヘアーをまとめた私の頭に日本髪のカツラはなんとしても入らなかった。立派に張り出したオデコのせいで、数人がかりの力をもってしても深く被れず、カツラの富士額が私の頭のてっぺんにある状態で動かない。仕方がないので黒い羽二重が見える部分に肌色のドーランを塗りたくり、そのまま舞台に立つことになった。つまり、私は異常におでこの広い女の子になってしまったのだ!! いくら「広い額は聡明に見える」たって限度がある。
 これではまるで桂歌丸が頭のてっぺんにちょこんとカツラを乗っけてるだけではないか! 私はまるで「ちびまる子ちゃん」のように青ざめた。私の役は確か、誰もが嫁に欲しがるような器量良しという設定だったはずだ。だが鏡の中の私はどう見ても「歌丸子ちゃん」である。
 案の定、本番で母親役のNさんが「この子は見ての通り器量良しで……」と私を褒めると客席からどよめきが……!!
 違う! 違うんだ。ここの場面は笑うところじゃないんだ、こら〜! 観客!! これは芝居のウソなんだから、私を見て笑うんじゃない。私と母親役のNさんとは五歳しか違わないがちゃんと親子役でも文句はないでしょうが。だったら私の器量良しというのも芝居ってことで納得してくれ!!
 マヌケな頭をしたミジメな歌丸子ちゃんは内心の動揺を隠しつつもなんとか「器量良しの娘」という役を演じきった。頭がデカイ……というのはこのように大変なウィークポイントなのである。
 さてはて、本番で私はちりちりの赤毛で舞台に立つのか、それとも不自然なロングヘアーのカツラで舞台にあがるのか、それはまだわからない。
 これをお読みの皆さま! 8月8日の夜7時。士別市民文化センター大ホールでお待ちしております。どうぞお誘い合わせの上、多数ご来場ください。(注意! 見どころは私の頭ではありません。お間違えの無いように!)