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 役立たずな番兵さん

         ―猫のヨッチャンです

 目前で繰り広げられる行為に、圧倒されてしまう独身の理加ちゃんなのであった(笑)。
 私は毎朝、牛舎で魚ごはんを炊いている。
 塩味が効いているであろう、ほのかな磯の香りの魚ごはん……。我ながら美味そうなご飯だろうなと推察するが、実は私は食べたことが無い。なぜならその魚ごはんは、古いハネ米を炊いた猫のエサ用だからだ。ちなみに魚は父が釣りで獲得したものだ。(大量に冷凍・塩漬けしてある)
 毎朝、牛舎に行くと私はまず、大鍋にハネ米を4合ほどと魚の切り身と目分量で水と塩をいれて火にかける。
 そして仕事の合間合間に様子を見て沸騰したら火を止め、朝の仕事がすべて終了するまで蒸らしておき、牛舎での仕事を終えたところで丁度美味しく炊き上がった魚ごはんを猫に与えると言うわけである。
 なんせ約30匹もの猫を飼っているのでキャットフードだけではえらい出費なのだ。
 さて、この魚ごはんを炊くにあたって、欠かす事が出来ない番兵さん・猫のヨッチャンを紹介しておこう。
 ヨッチャンはオスの茶トラ猫。温厚で心優しく猫の世界でもオス、メス問わずに人望(猫望?)のある人気者だ。
 そんなヨッチャンは毎日ガス台のそばでごはんが炊けるまでの間、一歩も動かずに番兵をしている。
 先日も獣医さんに「えらいな! 番兵してるのか」と声をかけられ誇らしげに目を細めていたものだ。
 ところがある日、わたしはウッカリして火を止めるのを忘れていた。遠くからでもわかるくらいの派手な煙で牛舎の中は緊迫感あふれる状況と相成った! 奥の牛舎から戻った私はその異様な臭いと煙で魚ごはんを焦がしてしまったことにようやく気がついた。
 慌ててコンロの火を止め、鍋のふたをあけてみたが……もう後の祭である。
 寡黙がウリのヨッチャンはそんな私と魚ごはんを黙って見つめていた。
 よく「これちょっと見ててね!」と頼むと見てるだけの奴がいるが(対応もしてくれ!)ヨッチャンはまさしくそんな猫であった。
 こら! ヨッチャン!! 「理加ちゃん、タイヘン! 焦げてるよ」って知らせにこんか!!。(そんな無茶な……)
 まったく役に立たない番兵さんである。
 それでもヨッちゃんは今日も黙って魚ごはんを見守っている。
 ま、いいか……可愛いから。