引っ越し先は……        エッセイ―05


 3畳1間のアパート、いつも暗く湿っていた。
 と、ある日、畳からキノコが生えてきた。ビックリ。
 で、ある日、友人7人が麻雀に訪れ、その重みに耐えかねてか、床がドドッと傾き、斜めになった。棟木が腐れていた。ビックリ。
 さらに真冬の寒〜いある日、帰宅してコタツに足を入れると、何やらほんわか、つま先に生ぬるい感触が……。野良猫がコタツの中で子猫を生んでいたあ。またまたビックリ!。
 ところである日、私はこのビックリの小部屋に急に不吉な不安を覚えた。天井が落ちてきたら、どうしよう、って。床が落ちるんだから、天井だってありうるよなあ。
 そこでわたしは、このあまりの惨状にうんざりし、蛮勇をふるって引っ越すことにした。
 やったあ、これで湿気と暗黒に包まれる世界、天井落下の恐怖から解放されるぞ。
 さて、お引っ越し。
 どこに? 同じアパートの2階に。
 なんじゃあ、これ。
 これではせっかくのお引っ越しも「意味ないぜ!」(注)。
 そう、部屋のイメージ同じ、住民みな同じ、冷たいピンク電話も廊下の吹き抜けも変わらず。心機一転まるでなし。
 それでも何かが変わった。
 はいはい、3畳から4畳半に、なおかつ朝日の当たる部屋になりました。
 これでもすごい出世だぞ、と慰めながら、さみしくタバコの煙を空に吐いておりました、なあ。
 なんか、虚しいお引っ越し……。