士別市内でトレッキング〔山麓(さんろく)歩き〕を愛好する仲間たちの山行記を連載します。市内を含め、この近郊には人間がいまだ足を踏み込んだことのない未踏地もあり、自然の魅力がいっぱいです。そんな自然の再発見を楽しめれば、と愛好者たちは今日もスノーシューズを雪跡に残して、前進しています。連載は随時です。

  道北日報
ヘッドライン


01 乙部山―1
02 乙部山―2
03 日向越冬白鳥
04 無名山―1
05 無名山―2
06 丸山―1
07 丸山―2
08 水道山―1
09 水道山―2
10 小平蘂岳―1
11 小平蘂岳―2
12 天塩岳―1
13 天塩岳―2
14 天塩岳―3
15 於鬼頭岳―1
16 於鬼頭岳―2
17 於鬼頭岳―3

日向の越冬白鳥 生きる姿に愛おしさ

 11月下旬、白鳥の宿も雪で覆われるため、約2000羽の白鳥は福島県の猪苗代湖、阿武隈川、岩手県の伊豆沼等に元気に飛び立っていきました。

 ピーク時には3000羽を超える鳥たちが集まり、種類もオオハクチョウ、コハクチョウ、オナガガモ、ガン、ウミウ、ユリカモメ、ヒシクイ、キンクロハジロ等が羽を休めに訪れます。

 その中でも10羽の白鳥が雨竜発電所天塩川放水路口で越冬しています。日中は2羽が剣淵川の観月橋下流にいますが夜には戻ってきます。

 皆と暖かい地域に飛び立つこともなく豪雪地域の当地士別で越冬を決めた白鳥に1月25日会いに行ってきました。

 日向橋近くに車を止め、それぞれがスノーシュ、スキーで河川敷を歩き始めました。林の中を深いところでは膝近くまで抜かりながら歩いていくと鹿、狸、狐等の動物たちの足跡がはっきりと見え、餌の少ないこの時期にたくましく生きているのを感じました。

 20分ほど歩くと3〜4本の松に囲まれた日向神社に着きました。屋根には40aくらいの雪が積もり、この時期に私たちの突然の訪問に神社も喜んでくれたものと思います。 2〜3年前に一部改修した様子で、私たちはそれぞれの思いを二拝二拍手一拝に託しました。山すそや河川敷には数多くの樹種が育ち豊かな水辺を構成していました。エゾマツ、トドマツ、トウヒ、キハダ、ヤナギ、タモ、ナラ、シナ、エンジュ、シコロ、ハンノキ、クルミ、ドロ等が見られました。

 雪解け頃からは植物が順に芽を出し、一帯は数え切れないほどの生命体で溢れることと思います。

 研究者の話によりますと、あらゆる植物のお陰で、防音機能、集塵機能、空気の浄化機能、水質浄化保全能力等を果たしているそうです。  静寂の中を歩き始めて1時間近くで、昔使っていたと思われる温泉井戸の小さな小屋に着きました。

  一休みしながら一同で、日向温泉の歴史を懐古し、再び歩き始めました。
 青空を見上げると気持ちよさそうに飛んでいた大きめの鳥が、いつの間にか我々の頭上で、旋回していました。何とそれはオジロワシでした。下から見ていると青空の中、尾尻が真っ白で、翼を一杯に広げ、ゆっくりと飛行をしている勇姿に大変感動しました。おそらく近くで見るとその大きさに驚くことであろうと思います。

 感動の余韻が醒めやらぬままに再び越冬地を目指し歩き始め、11時10分頃ようやく越冬地に着き、白鳥を見ることが出来ました。
 それぞれがオニギリやおやつを食べながら久しぶりに見る白鳥のゆっくりとした動作、優雅さにしばし見とれていました。餌の少ないこの時期に当地で越冬することを決心した白鳥を愛おしく思えてきました。

 白鳥を守る会の皆さんの献身的なお世話により無事厳しい冬を乗り越え、3月末頃から少しずつ訪れる仲間との再会を果たして欲しいものと思います。11時30分頃白鳥に別れを告げ越冬地を離れました。

 帰りは来たときの踏み跡があるため歩きやすく50分で車に到着できました。
 往復でおよそ2時間30分、森を歩いて強く感じたことは、人が地球で生きていくためには、森を切り開き家も道路も工場も造らなければならない。農地も川なども造らなければならない。しかしながら人は緑がなければ生きていくことは出来ません。

 今までに人が土地に合わない植物や森を造ったためにたえず膨大なお金をかけて維持管理、生産をしてきています。それも必要なことであったと思います。

 しかし同時に、それぞれの地域が出来る限りその土地、地域で太古から繰り返し根付いている植物や森をもっと大切に保存し、次代に継承しなければならないと感じました。
(文責・謙一)
(写真=雨竜発電所付近で越冬する白鳥)