連載-02 士別市総合体育館

 厳しい厳しいと叫ばれ、交付税などのマイナスが予想される中で、地方自治体ではなお公共施設の建設が進んでいる。一方では昭和30年代から50年代の高度成長期になって建設された公共施設は老朽化と狭隘化が進み、補修に過重がかかり、さらにはIT化への対応にも追われ、自治体がどこからも補助の望めない単独費の支出増が強いられつつある。それでも士別市の火葬場のように老朽化が著しくなれば、苦しい財政事情の中でも建設は必要となる。行政サービスの向上に公共施設の存在は欠かせないのである。この公共施設を検証して、将来の公共施設像の姿を探っていきたい。

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利用者は増加傾向


=建設から30年= 老朽化と狭隘目立つ
 士別市総合体育館は、1974年に建設された。建設に要した費用は3億2400万円ほど。
 施設の延べ面積は3407・37平方bで、アリーナ部分は864平方bあり、バレーボールで2面、バスケットボールで1面、バドミントンで8面のコートをとることができる。
 このほかに、トレーニング室、2階体育室を備え、建設当時は道北でも有数の広さを誇る、総合体育館だった。市民スポーツの拠点施設となっている総合体育館
 現在も市民のスポーツ振興を図っていくための拠点施設としてその役割を果たしており、昨年度の利用者は8万2176人。
 まち全体が過疎化にあるなかで、総合体育館の利用者は年々増加している。
 ちなみに、富良野市や深川市、留萌市などの総合体育館の利用者は5万人程度。これだけでも、士別市でスポーツに親しむ市民の多さが計り知れる。
 ただ、建設から30年近くが経過し老朽化と、スポーツ人口の増加に伴う施設の狭隘が目立ってきていることは否定できない。
 現在、総合体育館を定期的に利用している団体は中央地区だけで75団体あるが、ここでの利用調整に漏れた団体は、市内の学校開放を利用しているのが現状。
 学校開放を含めた年間利用者は12万人を超し、4万人ほどが学校開放を利用していることになる。
 そうしたことから市では、体育施設の整備を目指して道立総合スポーツセンターの誘致活動を進めているが、誘致の実現に目鼻がついていない今の状況では、総合体育館がなおもスポーツの拠点施設としての役割を担っていかなければならない。
 現段階では、道立スポセン誘致実現後の総合体育館の扱いについて議論が行われていないが、仮に道立スポセンの誘致が実現したとしても「1つの体育館」では、現状の市内のスポーツ人口に対応しきれない可能性が高く、総合体育館が引き続き「市民のスポーツ活動の場」として貴重な存在になるものと考えられる。
 総合体育館の場合、施設としてのハード的な役割のほか、スポーツ行政の核となるようなソフト的役割もある。
 公立体育館の職員の多くは、施設の管理業務が中心となるが、総合体育館では主催事業をはじめ体育指導委員会、スポーツ指導員会、総合型地域スポーツクラブ中央地区などの事務局を持っている。
 「市民と職員が有機的なつながりを持つことで、市民が求めるスポーツメニューの企画・実戦が可能となるはず」(総合体育館)と言う。
 財政的に老朽化や狭隘に充分な対応ができるだけの、ハード的な整備は望めないが、総合体育館では「ソフト面での充実を図ることで、市民がスポーツに親しめるいい内容の事業が見つかるはず」としている。
 限られた予算のなかで、いかに市民が気軽にスポーツに親しめ、汗を流せることができるか、ハードにとらわれない柔軟な発想での取り組みが、これからの総合体育館の評価につながっていくのではないだろうか。
 (写真=市民スポーツの拠点施設となっている総合体育館)