連載-09 士別市つくも青少年の家

 厳しい厳しいと叫ばれ、交付税などのマイナスが予想される中で、地方自治体ではなお公共施設の建設が進んでいる。一方では昭和30年代から50年代の高度成長期になって建設された公共施設は老朽化と狭隘化が進み、補修に過重がかかり、さらにはIT化への対応にも追われ、自治体がどこからも補助の望めない単独費の支出増が強いられつつある。それでも士別市の火葬場のように老朽化が著しくなれば、苦しい財政事情の中でも建設は必要となる。行政サービスの向上に公共施設の存在は欠かせないのである。この公共施設を検証して、将来の公共施設像の姿を探っていきたい。

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利用の5割が合宿に

==宿泊研修は減少傾向=

 社会性育てる目的変わらず

 

  つくも青少年の家は北海道開基100年の記念事業の一つとして建設され、1968年(昭和43年)10月に開館した。
 鉄筋コンクリート2階建て、1856平方b。宿泊棟には2段ベット据付の部屋が8室と和室1室があり、このほか利用目的が変化してきたつくも青少年の家研修室が2つ、視聴覚室、講堂(体育館)、談話室と食堂、事務室がある。
 この施設は、青少年が団体宿泊による共同生活や研修を通じて規律や共同、友愛、互助の精神を養い、社会人として成長するための「人づくりの場」を目的として建てられた。
 道内にはこうした社会教育施設が国立、道立、市町村立などあわせて22カ所ある。いずれも少年、青年、自然の家と分類されていて「青少年」の名で小学生から勤労青年まで幅広く利用できるのは道内でも士別1カ所だけという。道北でも唯一の施設だ。
 利用者数は開館した年度こそ延べ3000人(以下数字は延べ)だったが翌年度は1万人を越えた。昭和56年に一時7000人台と落ち込んだが、これまで平均8000人〜1万3000人で推移している。
 しかし、平成6年度頃から徐々に利用者減が目立つ。同8年度と11年度は8000人を上回ったものの、それ以外は6000人台。13年は館内全面改修をしたため、5000人となっている。
 減少の影には少子化で子どもの数が減っていることもあるが、集団生活をして社会性を身につける、という宿泊研修の企画自体が少なくなったことも要因の一つだという。
 その宿泊研修をメインにした利用は現在、年間の利用者数の4割程度。利用料が安いなどの要因から部活動を中心としたスポーツ・文化系合宿が5割を占め、施設本来の目的である「宿泊研修」を上回っているのが現状だ。
 「時代とともに施設を利用する目的も変わってきましたね」と鈴木静男所長は話す。
 しかし、施設の利用目的が変化してきても本来の目的は変わらない。
 利用者は毎日必ず朝夕に「若い力」の斉唱、国旗、道旗、所旗の上げ下ろしなどの「つどい」をし、部屋の清掃、研修、各部屋ごとの反省会も行う。
 これは規則正しい生活と精神的な身だしなみ≠身につけ、社会人になるため、あるいは社会人としての「自覚」や「ルール」を守ってもらうためだ。
 この施設と時を同じくして建てられた道内の類似施設は老朽化しているものの、行政の財政難で新築や改築が難しく、閉所を余儀なくされるところもある。
 士別においても建物は老朽化し、利用者は減りつつあるが学校や家庭、職場でやらないことや教わらないことを施設の規律と職員の指導で学ぶことができる貴重な存在として、なくすことはできない施設である。
(写真=利用目的が変化してきたつくも青少年の家)