2―スケールメリット 01―これまでの経過
02―スケールメリット

03―地域における役割
04―新JA経営計画
05―丹会長に聞く 1
06―丹会長に聞く 2
 道内では、農協合併の動きが急速に進んできている。道北地方でも先日、美深町と下川町、中川町の3農協が合併し「北はるか農協」が誕生したばかり。1市3町の5農協でもすでに合併推進委員会を立ち上げ、来年2月の合併実行に向けて準備が進んでいる。この地域の基幹産業は、言わずと知れた農業であり、農家と農協の関わり、さらには地域と農協の関わりはかなり深い。そこで、この地域における農協合併の意義や今後について、シリーズでその姿を探っていきたい。(この企画は6回連載します)
技術習得機会の拡大にも

           ―効率性求める事業改革必要

 組織の合併で求めるものの1つが、スケールメリットだろう。
 農協のおもな業務は、組合員の営農活動の成果である生産物を共同で販売する「販売事業」、農業生産に必要な資材などを共同購入する「購入事業」、営農を指導していきながら総合的な生産力の維持・向上を図る「指導事業」、組合員からの貯金の受け入れや資金の貸付を行う「信用事業」、さらには組合員が共同で保障と損害の回復を図る「共済事業」などがある。
 農協のなかには、信用事業を行わない専門農協の形態をとるものもあるが、この地方のすべての農協は、これらの事業を総合的に行う総合農協である。
 最近では、金融の自由化や農協法の改正、さらには市場が求める安定供給など、農協を取りまく環境はこれまで以上にスケールの大きさが必然的に求められるようになってきている。
 例えば、信用事業1つをとっても、貯金残高が100億円と200億円では、資金の融通面で大きな差が生じる。
 1市3町の5農協が合併した場合、貯金残高は530億円にもなる。
 また、販売高も200億円と道内屈指の規模となる。
 ただ、貯金残高や販売高が膨らんだだけでは、本当の意味でのスケールメリットを発揮したことにはならず、スケールの拡大とともに効率性の向上も図っていかなければならない。
 南宗谷線JA合併検討委員会がまとめた新JA経営計画概要案では、ブランドの統一化や資材等の大量一括仕入れによる供給価格の低減、広域エリアによる施設の有効活用など、スケールメリットをいかした効率化策も盛り込まれている。
 こうした物理的効率性以外にも、優良農家からの技術習得機会の拡大というメリットもあるはず。
 和寒町のカボチャは、量・質とも高い評価を得ているが、合併によって栽培技術のノウハウが他の地域に広がれば、これまで以上にまとまった量の高品質なカボチャを生産できることにもなる。
 トレーサビリティ(生産履歴)の取り組みなど、いまほど食に対する「安全・安心」が求められているときはない。
 そうした意味でも良質で安全な農産物を一定量確保できれば、価格面などで有利な販売が可能となるはず。
 しかし、売れる農産物作りを進めていく反面、売りたい相手や商品の特徴を考えた販売戦略も持たなければ、合併によって徐々に広域化してきてきている産地間競争には、勝ち残っていけない。
 総合農協としてスケールメリットを追求しながら、合併による新たな体制での事業改革も求められているのではないだろうか。