2008年
道北日報
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キズに消毒は必要か? -7

士別市立病院診副院長 澤谷令兒医師(外科)

 わたしの子どものころは自転車に乗っては転び、缶けりしても転び、肘(ひじ)か膝(ひざ)のどこかがたえずすりむけていました。そんなときは、どこの家にもあった赤チン≠塗って、また遊びに行ったものです。

 今はもっと便利なものがあって、スプレーするだけで消毒したうえに、キズまでも乾かしてくれる薬があります。

 はっきり言いますと、すべてのキズに消毒は必要ありません。というよりも、消毒はしてはいけません。
 難しい話しになりますが、消毒薬はたんぱく質を変性し、それでばい菌の細胞を破壊して殺菌します。熱でたんぱく変性を起こす(生卵をゆでると固くなるのが、たんぱく変性の身近な例です)熱湯消毒と同じなのです。 
 消毒薬は人体のたんぱく質とばい菌を区別していませんから、人体の細胞までやっつけてしまいます。そのうえ、ばい菌の方が消毒薬に対して段違いに強いのです。原液の消毒薬の中でも増えていくばい菌が存在するぐらいです。だから病院では24時間で消毒薬は新しい物に替えています。
 実際はキズを消毒すると、キズを治そうとする人体の細胞は死んで少なくなるのに、ばい菌はそれほど死なないのです。逆に消毒薬を使うことで、キズの治りを悪くしていたのです。

 それではどうしたらいいのか。キズ口は多少痛いでしょうけど、水道水でキズを洗い、ばい菌を取り去るのが一番いい方法です。まずは清潔を保つことです。そして、キズ跡が残らず早く治したいのなら、キズを乾燥させないことが大切です。

  乾いているとキズを治そうとする人体の細胞が動けなくなってしまい、治りにくくなります。実はカサブタがキズを治しやすいように、キズ口を乾燥から防いでいるのです。ですから、カサブタは自然とはがれるまでつけておいた方がよいのです。この原理を応用し、病院ではどこにでもある台所のラップを貼るように指導しています。