『NST』って何?=リハビリ編 -2
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士別市立病院作業療法士 森 悠亮さん
「食べること・飲み込むこと」が出来なくなったら、どうでしょうか?
栄養サポートチーム(NST)での作業療法士は、口腔ケア(口の中のお手入れ)について看護師に指導を行ったりしています。また、口や飲み込むときに使う喉頭などの機能の評価をしたり、機能を維持するための訓練などを行っています。
「食べること・飲み込むこと」を、医療の現場では「摂食・嚥下(えんげ)」と表現します。口の中でかみ終えた食物は、舌の動きで奥に押し込まれます。すると、口の奥の軟口蓋(なんこうがい)と呼ばれる部分が鼻腔(びくう)につながる穴をふさぎ、更に肺につながる気管が喉頭蓋(こうとうがい)で蓋(ふた)をされ、食道の入り口が開きます。
この一連の動きがスムーズに行われることで、水や食物は胃に向かいます。もし、これらの動きにかかわる神経や筋肉に障害を受けると、口の中の水や食物、唾液(だえき)、あるいは胃や食道から逆流してきたものが気管に入る「誤嚥(ごえん)」を起こしてしまうことがあります。
高齢者の場合、口の中で繁殖した雑菌が自然と気管支や肺に流れ込み、肺炎になりやすいことが知られています(不顕性肺炎:ふけんせいはいえん〜症状の無い、知らないうちに肺炎になってしまった状態)。また、全身的な免疫能の低下や嚥下機能そのものの低下等によって脳梗塞やパーキンソン病、認知症などの方々も、肺炎になりやすい危険な状態と考えられています。
継続的に口腔ケアやリハビリテーションを行なうことによって、たとえ誤嚥を起こしたとしても、誤嚥性肺炎を40%予防、もしくは軽症化できると言われています。また、嚥下リハビリには、口腔ケアのほかに食物を使わない間接訓練や、食物を使ってより実践に近い直接訓練があり、医師からの依頼により行なっています。
家庭で行える簡単な間接訓練を2つ紹介しましょう。
1) 頚部屈曲法(別名;へそのぞき法)=頚部、簡単に言うと首周りのほとんどの筋肉は口の開口から咀しゃく、そして飲み込むときまで実にバランスよく筋肉を使っています。それらの筋肉全体に対しての訓練になります。方法はベッドや床の上に仰向けで寝てください(この時、枕は無くても結構です)。そして、両手をおなかの上に乗せ、ゆっくりと寝たまま自分のへそを覗き込むような感じであごを引いて頚部を上げます。上げた状態で5秒間保持してゆっくり戻します。これを10回1セットとして行います。結構効きますよ・・・。
2) 発声訓練=発声訓練は、気道の入り口部である喉頭の閉鎖、呼吸機能の改善、喉頭挙上、口周囲筋の筋力改善等に役立ちます。また、覚醒を促すことにもつながります。方法は、しっかりと「ウー」と「イー」の動きを行い、口を「すぼめる」・「横に伸ばす」という逆の要素の運動をしっかり行ってもらいます。次に、「パ」「タ」「カ」とそれぞれ舌のちょっとした動きで発音が異なる事を理解しながら行ってもらいます。それぞれ、3秒ずつ位伸ばしながら行い、それぞれ5回を1セットとして行います。慣れてくれば、母音を長く伸ばさないで、短く切るのも1つの方法です。
以上のような方法等を用いて、訓練を行っています。
誤嚥性肺炎の予防、そして楽しい食事をとれることができるように、NST全体で取り組んでいます。
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